もくもくと湯気が上がる。

ひとりでお風呂に入るのが急に寂しくなって、照れる奴を無理やり連れ込んだ。
入浴剤なんて入れなくていいって言ってるのに退は必死こいてバスロマンを入れまくってた。
そのせいでお湯は真っ白だ。
屯所の大浴場はおっきいけど、今日入ってるのは小さい方のお風呂だったから少し底がざらざらしてる。
このシャイやろう!(落ち着かんだろーが!)(ざらっざら・・・!)











「そいや!」





最近覚えたばかりの水鉄砲を目の前のシャイボーイに発射!






「ゴホッ!ゲホッ・・・!」



「あははー!!」


「ス・・ストッ・・ストップ・・!」


「くらえ!!」


「ごほっげへ・・・!!」


「あっはははー!!」


「ごほごほ・・・せやっ!」


「ぎゃ!ごはっ・・ゴホゴホ・・ッ!!」


「仕返しッ!」


「やられっぱなしじゃねえって事か・・・」


「ちょっと落ち着いて浸かってよ。」



「お母さんみたいね。」


「当たり前のことですー。」



「はーいはい。静かにしまーす。」




退に水鉄砲でお湯かけまくってたら(あれ?お湯鉄砲?)生意気にも仕返ししてきた。
しかも落ち着けってサ!なんだよ!誰のためにこんなにテンション上げてると思ってるのさ!






ちゃぽ・・ピチョーン。

ピチョーン。

ちゃぽ。


静かなお風呂でするのは名残惜しそうに揺れるお湯と天井から落ちてくる雫の音。
そんなに広くないバスタブに大人が二人も入ってるから中々キツイ。
退、こんな状況にいつまで耐えられる?お!早速おどおどしてるよ!
退は目のやりどころに困ってるのかキョロキョロしながら指をグルグル動かしている。
気まずいだろ気まずいだろ!





・・・・」





ほら!





「・・・・・」




「あのうもう少し喋っても・・・」




「・・・・・」




「あの、すみませんでした・・・」




「・・・・反省してる?」




「はい・・・(なんでだ)」





「よろしい。」





やっぱり退はすぐ謝ってきた。小さい頃からずっとそうだ。自分が悪くないのにすぐ謝る。
だからいつもパシりなのよ。






「退さあ、」




「ん?」




「今日、夜勤?」




「いや、今日は違うけど、」




「じゃあ今日一緒に寝て。」




「え、」





みるみる退の顔は赤くなってった。
これはのぼせてるからとかじゃなくて





「なに、嫌なの?」




「や、そ、その、そんなわけじゃ・・・」




「じゃあなによ」






「だ・・・だってさ・・・」





「だって?」





「いや・・・(勘弁してくれ!)」






「・・・・・さがる、」




「はい・・?(しまった!裏返った・・!)(恥ずかし・・!)」




「目つむって。」




「え・・・・!」




「いーから。」

「え、え、え・・」




「つ・む・れ!」




「・・・はい。」









退はギュッと目をいっぱいいっぱいつむる。やだ。不覚にも可愛いとか思っちゃったり・・・!
そんな退の顔にそっと手を添わせる。退は一瞬ぴくりと動いて更に強くぎゅっと目をつむった。(あれ?立場反対?)(あれ?)
更に退に近づいてそれから、






























それから、

































一気に退の頭を湯船に押し込む!(ぎゃはは!)











「がぼっ・・!がぼがぼがぼ!!(え?!)(なにこれ!?)」





「あはははは!なに期待してんだムッツリー!」





「げほっ・・・・!!ばばばばばあわばば!」





「あははははははははははは!!」






退は腕をバタバタさせながら予想もしなかった急な出来事に対応しきれていないみたいだ。







「ガボボボボボボボボ!!(死ぬ・・・!)(くるし・・!)」




「きゃはははは、・・・ぎゃっ!!」







急に退の手が退の頭を抑えている手を掴んだ。そのまま無理やり頭から手を引き剥がされた。
意外と力が強い・・・(ドキ。)(あれ?)







「げほっ・・げほけほっ・・・・!」




「・・・・」




「おまっ・・殺す気か!」




「殺すわけないジャーン。」




「オイイィィイィィイイイ!!死ぬかと思ったの!こっちは!!」




「すいまっせん。」




「(こ   い   つ   !)」




「もーしませえーん。(ふーんだ。)(冗談の通じないやつめ!)」




「・・・・・!このーーーー!おらっ!!」




「ぎゃーーーーー!!」









その辺に置いてあった桶に入れたお湯を顔面にかけられる・・!げへっ!!ごほ・・!









「くらえ!!」




「げほげほげほげほげほげほ!!」




「参ったか!」




「けほっ・・!げほ!さ、さがるのクセに・・・!」




「どゆう意味だよ。こら。」








は、と気がつけば顔がだいぶ近い。よくよく見れば浴槽の淵に覆いかぶさるように追い詰められている。
あら?これってマズイんじゃないの?とか思ってたら足になんだか硬いものが・・・、
あのーこれはアレですか?えーとえーと?









「さ・・さがるさん・・・?」




「・・・・・・、」




「・・・は、い・・・」




「ごめん!!」




「はい・・って・・ェェェええええ!!??」




「(もう無理!)」




「ぎゃーーーーーーーーーーー!!!!!」
























退はやっぱり男の子だったんだもんね。ごめん。いや、男の子はさ、どんな風でもやっぱり男の子なわけですよ。
うーん。もうあーゆうからかい方をするのは止めにしようと完璧にのぼせた頭でぐらりと考えた。














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あ り が ち  ! ぐっだぐだでごめんなさい・ ・ ・ ! !


06.3.17