暗い部屋の中でブラウン管のチカチカした光に体の半分が照らされる。 目の前の時代遅れの分厚いブラウン管の中で女が必要以上の大きな声と下品な腰つきであんあん言っているのを一直線に見て自分のちんこが痛いくらいに大きくなってズボンを押し上げているのが見なくてもわかる。
目を閉じて大きな声で叫んだかと思えばうっすらなみだ目を開いてこっちを見る。それからまた目を硬く閉じて俺の知らない男のでっかいちんこを口に突っ込んで大げさなほどの水音を出す。


俺はそれを見て少し前のめりになって押しつぶされた胃が痛むのを感じて顔をギュッとしかめる。別に胃が痛いから、だけじゃないけど。薄いピンク色のナース服に白いタイツ。乳首が胸元の薄い布を押し上げている。白いタイツは腿の辺りまで捲くれていてさらけ出されたタイツより幾分か肌色の肌はぬらぬらと光っている。”清楚なナース乱れ踊る夜の病棟”そう書かれたパッケージを見てうんざりした。今日もお前でオナニーするんだ。俺。
いつもこうだ。最初はどんどん興奮してきて理性とかぎりぎりでしか保てない。それからすごくやるせなくなって無気力になる。女が挿入されそうになるにつれてどんどん俺はイライラする。そのイライラはじわじわとぼんやりと鈍く広がっていく。 ああ、エロ。なんだよ、そんな腰突き出しやがって、そんなにあんあん言いやがって、おい、おい、おい、なんだよ、おいふざけんなよお前こんなところで何してんだよ。お前は俺のクラスメートの女子高生だろふざけんななんでだよお前看護婦じゃねえだろ。何が、看護婦だよ。お前、女子高生だろ。


初めてがAVで喘いでるのを見たときはマジで体が凍りついたかと思ってすげえ汗を掻いた。嫌な汗を掻いて急いであんあん喘ぐの移る無機質な画面に近寄ってバンバンと叩いた。全く意味が無いのに。何回もバンバン叩いた。
ふざっけんなよお前なにAVなんかに出てるんだよふざけるなよなんで俺の知らない男で喘いで何本もでっけえちんこ銜えてんだよふざけんなふざけんなふざけんな。お前昨日その口で購買のコッペパン銜えてたじゃねえか他の女子と楽しそうになんだよこれ、別人じゃねえか。なあお前はそんな下品な声じゃないだろ。いつもでっかい明るい声でおはようとか言ってるじゃねえか。なんだよ、これ、桜芽愛音ってなんだよ。お前の名前はじゃねえか。誰だよ、この、愛音って、なあ。


それでも気が付いたら自分のでっかくなったちんこ擦ってた。泣きながら一生懸命擦ってた。まじ、ふざけんなよ、俺なんで好きな女と知らない男のセックスでオナニーしてんだよ。ひたすら目から流れる涙は止まらなかった。ちんこを擦る手も止まらなかった。


「う、うぅ、うぐっ、ぐっ、ぐすっ、ふっ、うあ、うあああ、ふっ、」

なんだよこれまじウケるんですけど俺なんで好きな女が知らない男のちんこであんあん言ってるの見て自分のちんこ擦ってんだ。いつもこうだ。そう、興奮、無気力、苛立ち、そして最後は喪失で終わる。まじウケる。普通こういうときって相手の男殴り飛ばして女に何か着せてやるもんだろう。自分がやってることの馬鹿さ加減が尋常じゃなくてほんと笑えてくる。俺、なんなの。
もう何回もが色んな男とセックスをしている所を見てはオナニーを繰り返してる。その度、涙は止まらない。ちくしょうちくしょう。ちくしょう。なんでお前こんなことしてんだよ。今すぐブラウン管の中の女の腕を引っ張ってバカヤローって怒鳴って服を着せてやりたかった。けれどそんなことできるわけなくて泣けて。そんなこと思いながらも止まらない右手に情けなくて涙は零れる一方だった。もうなんか鼻水とかもっとサラサラした鼻から出る水とかも混じって俺の顔はぐしゃぐしゃに汚れてて, 薄暗い部屋でブラウン管の光に照らされながらひたすらに右手を動かし続けた。





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07 05 22