あれ?ええと?あれ?あれ?えーとえーと・・・どうしてこうなっちゃったんだろう?現在の所在地は少し小さめのベットの上だ。シーツは白。
つい数分前まで私はきちんと制服を着ていて胸のスカーフもしっかりと巻かれていた。それからワンポイントの黒い靴下も履いていたし、スカートのホックもきちんと閉じていた。
それが今の私は何一つとして身に着けていない。早い話が真っ裸だ。素っ裸だ。ぶるりと身震いをして少し鼻をすすって目の前の男を見る。彼も素っ裸だ。
「なんでィ。」
「いやー・・なんでこーなったんだっけなあ?て・・・。」
「別に、成り行きじゃねえの?」
「あー。そっか・・」
総悟はけろりと淡白に答えてそのまま濁ったような目でふと横の窓に視線を落としていた。(やだ、)(男のクセに、)(綺麗じゃん。)
うーん。時間は午後三時。特に外の景色は夜景でも夕焼けでもなくてこれといってない。普通くらいの明るさの普通な空だった。それなら総悟は何を見てるのだろう?
もしかしたらなにか面白いものでもあるのだろうか?そう思い私も窓を見るけれど、ブラインド越しの外の世界はなんてことない。普通だった。
それから気だるそうに窓の外を見つめる総悟に視線を戻す。すごくひょろっこい、普段学ランを着ている時の彼はそんじょそこらの女子なんかより女子らしい華奢な体つきだと思っていたのに、その黒い学ランを脱いだ彼はひどく男らしい身体をしていた。
腹筋はうっすら綺麗にわれているし、腕は骨っぽくてもほどよく筋肉がついている。(これじゃまるで私、)(変態みたい・・・!)
そんな風に不覚にも総悟に見とれていたらぐるりと急にこっちを向いたので思わず小さく声をあげてしまった。
「なに見てんだ。この痴女。」
「え・・・ごめ・・ってか痴女はやめて・・・!」
「じゃあ処女。」
「・・・・」
「あんだ。満足か?」
「・・・もういっす・・・(それは事実だ・・・)(敵わねえ・・)」
「外がよォ、」
「え?」
「いいなァと思ってたんでィ。」
「へ、え・・・」
「なんだ。納得いかねえような声出しやがって。」
「いや、なにかあったのかなあって。」
「別に。なにもねえよ。それがいいんじゃねえか。」
「そーいうもんなの?」
「おめーにはわかんねえかもな。」
「なにそれ!」
そう言ってまた外に目をむけてしまった。頬杖までついているから、これは長くなりそうだ。
なんだか今日はわからないことばかりだ。なんで服を脱いだかもわからないし、総悟が何を言っているのかもわからない。
ベットの上でなにをするわけでもなくかれこれ一時間も向き合っているわけもわからない。なにをやっているのだ私たちは。
そのまま一向に窓から目を離さない総悟に軽くため息をついてもう服でも着ようかなとベットの下に脱ぎ散らかされている制服のスカートに手をかける。
その瞬間ぐいと腕を掴まれて急に総悟の顔が近づいてきて私の少し乾いた唇に総悟のものも重ねられた。ゴンッ!と音がして勢いよく頭をベットの下の床にぶつける。
「・・・ひたっ・・んっ・!」痛い!そう声をあげたかッたけれど私の口に重ねられたもののせいでくぐもった声しか出なかった。それどこらか急な出来事でまだよく理解しきれていない口の隙間からぬるりと総悟の下が入ってきた。
それからくるくると口の中を荒される。いや、あの、その、く、る、し・・・・!
「んー!んー!」どんどんと胸を押し返してみるけれどそこはやっぱり男の子だ。びくともしない。ちょっ・・!ホントいい加減・・し、死ぬ・・!
「ぷはっ!!」
やっと開放されてキスの後にしては色気の無い声をあげてしまった。(うわー、)(文句言われそ・・)
「もう少し色気のある声は出ねえのかよ。」
「(やっぱり!)すみまっせん。」
「ま、いいか。」
「なにがっ・・て・・・あ・・・」
思ってた通りの文句の後に急に首に顔を埋められて思わずギュッと体を硬くしてしまう。あ、やばい、やばい、怖、い!そう思ってキュッと目を瞑った瞬間ベットの上から機会の揺れるウイーンと言う音がした。携帯だ、
総悟は一瞬ぴくりと動いたけれどすぐにまた口を動かし始めた。しかしながらいっこうに携帯のバイブは止まらない。あまりにも長く揺れているものだからとうとう総悟はすごく面倒くさそうに体を起こして携帯を開いた。
その瞬間携帯から大音量で「くぉらぁああああああああ!てめえ総悟ォォォオオオオ!」というかなり怒りを含んだ声が聞こえた。
「・・・・土方さんじゃねえですかィ、」
『土方さんじゃねえですかィじゃねええええ!てめえ俺の靴どこやった!?』
「あぁ、それならバレー部、ああ女子の方のねィ、更衣室で見かけたような見かけないような、」
『てめえええええええ!なにしとんじゃああああ!』
「何言ってんですかィ。俺は知りませんぜ。」
『とぼけんな!お前!どーすんだよ更衣室って!』
「さあー、どうしましょうねィ。とりあえずひとりの痴漢が健全な女子バレー部員を怒らすことになるんじゃねえですか?」
『ほんとにお前ぶっ殺すから。明日ぶっ殺すから。』
「こっちもあんたをぶっ殺したいですぜィ。いい所で。」
目の前で延々と続く喧嘩(喧嘩?)をボーッと眺めていると鼻がむずむずしてきた。あ、むず、むずする、
「ぶえくっしょん!!」
『んだよ誰かいんのか!?おめえどこにいんだ!?靴もってこいやァアアア!』
「家ですよ家。もう切るんで。じゃっ!」
『てめっ!まてそうっ・・・・ブツッ』
まだ受話器からは土方くんの声がしていたのに総悟はそんなことは気にせず電話を切ってしまった。(どんまい土方くん)(靴は明日あたしが取ってきてあげるから!)
「いいの?靴?」
「いーんじゃねえの?」
「でもさ、・・わっ・・!」
「ごちゃごちゃうるせーんでィ。」
「ちょっ・・・プ・・プリーズストップ!・・」
「(なんで英語・・)」
そのあと耳元で「ダズントストーップ。」そう言われて体がぞくりとしてそのまま私はチカチカする視界と人事のことのような出来事に身を投げ出した。
(私たちって健全な高校生だわ・・・)
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日常っちゃあ日常なんだけど特別な日。でも日常。
そういうようなお話なんですけれど、どうもダメダメですね・・・
もっと青臭くできたらなあ。なんて・・
06.4.2
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