はじめて男と女の行為について知ったのは14歳のとき。(犬の交尾で知りました。)(・・・) 衝撃だった。ものっそい衝撃だった。あのときの衝撃は今でも忘れない。 けれどそれって大人のはなしでしょ、うん。あたしには関係ないね。そう思って過ごしてました。 けれど、忘れもしない、そう、17歳の夏。 親友、ちゃんが初体験を済ませたのです。衝撃だった・・・・ちゃんとは小さい頃から仲良しで自転車に乗れたのも 一輪車に乗れたのも全部全部一緒だったのに、彼女はもうわたしより大人なのだ。 今まで”大人のはなし”としか考えていなかったソレはもうわたしのすぐ近くまでやって来ていて、もう”大人のはなし”では無くなっていた。 気づけば17歳、まわりのみんなはかなり男と女について詳しくなっていて、わたしは取り残されてしまっていた。 ただただわたしが”子供”だということを悟られないように一生懸命勉強をした。男と、女について。 そのままその知識が必要になるようなこともなく就職して、わたしは真選組の隊士になった。 これじゃあわたしただの歩くエロ辞典じゃないか・・・!(・・・) 兎にも角にも、わたしは足りないものは経験なのだ。 午後10時30分、彼はお風呂に入ってる。 「きょっくちょぉぉぉおおおお!!」 「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 急な出来事に局長はすごい勢いで後ずさりしてタオルを握る手に力を込めた。 ちょ、そんなに恥ずかしがらないで下さいよ! 「こんばんわ!お背中お流しします!!」 「いいです!いいです!いーです!遠慮します!服を着なさい!服をぉおおおお!(男の子ですから僕だって!)」 局長は一生懸命こっちを見ないようにして手をばたばたして抵抗してる。(かーわーいーいー!) 「なに言ってんですか!さあ!そのタオル取って下さい!」 「ちょっ、ちょ、ダメですよ!ダメ!これは本当にだめ!(最後の砦だから!)」 「大丈夫ですよ!大丈夫!わたし慣れてますから!見慣れてますから!」 「なんで!?そんなもの見慣れてちゃダメでしょ!ってきゃあああああ!!(助けてえええ!!)」 局長が中々手を離してくれないからわたしがタオルを取るしかない。そう思い局長がしっかりと握りしめているタオルに手をかける。 「はーなーしーてーくーだーさーい!!!(ふごーーー!)」 「だ、だれかぁああああ!!」 「局長!なに恥ずかしがってんですか!」 「ここは恥ずかしがるところだからね!」 ガラッ!お風呂場のドアが勢いよく開いて、そこには鬼の形相の副長が立っていた。 「くおらあああ!」 「ぎゃー!ふ、副長・・・!」 「ト、トシィイイイイ!(助けて!)」 「おめー何やってんだコラ!」 副長が取っ組み合いにいるわたしと局長を見下ろしながら怒鳴る。(わたしにだけ?)(え?) 「なにって今から始めるところですよ。他人の情事の最中に邪魔するだなんて野暮ですよ。副長。」 「おめー近藤さんを見ろ。完璧に怯えてんじゃねえか。(え?近藤さんちょっと泣いてる?)(マジでか・・・)」 「それは嬉し涙です。こんなうら若き乙女を今から頂ける喜びの涙です。」 「おい。兎に角出てけ。」 「嫌です。」 「いいから出てけ。」 「ぎゃ!」 急に視界が動いたと思ったら副長にひょいと持ち上げてられていた。 そのまま脱衣所の外に投げ捨てられた。(いてえ!)(この人容赦ねえな・・!) 仕方ないので脱衣所に脱ぎ捨ててあった服をもそもそと着て部屋に帰った。 廊下が冷たい。よって足の裏も冷たい。すっかり冷えてしまった足を布団に突っ込みながら寝巻きに着替える。 ああ、寒い。 こーゆう夜って人肌が恋しくなるんだよね、そうだよね、局長。 布団の中に全身を入れながらしばらくボーッとしていたらいつの間にか寝てしまっていたらしく、時計を見るともう2時を指していた。 (局長、なにしてるかな・・・)ふとそんな思いが頭を過ぎった。結構わたしってば一途なのに。 (あーあ。今日副長が邪魔さえしなかったらなあ。)(どーなってたんだろ?)(局長・・・)(きょくちょー・・・)(・・・) ガバッと勢いよく布団から起き上がり、もうこれしかないと思った。(そうだ。これっきゃねー!) そろっと襖を開いて長くて冷たい廊下に足を這わす。 つめ、たいけど急げば音が立つから慎重に廊下に張り付いた足を剥がしていく。寒い寒い。(今行きますからね!局長!)(わたしってば健気・・!) 副長室の前を通るときはさすがに緊張した。副長は寝起きがメガトン級に悪い。今此処で捕まったりなんてしたらマジでたたッ斬られかねない・・・! 細心の注意をはらって副長室を通過する。(ひー!)(お・・おっかねえ!) そのまましばらく行けばお目当ての部屋、局長室だ。 「きょくちょー、」 そろりと襖を開けるとそこには机に向かう局長がいた。(背中、でっかいなー)(・・・) 「!!ひ!・・・ちゃん、か、(ビビッた!)(いや、お化けとか信じてるわけじゃないから。この歳で。)(マジですよ。)」 「きょくちょう・・・」 「え?どうしたの?」 「寒くないですか?」 「いや、特に寒くは・・・」 「(寒いって言え・・・!)・・・」 「(こ、こわっ・・・!)寒・・・いかなあーっはっはっはー!」 「じゃあわたしが暖めてあげますよ!」 「え!!!!!????」 局長はすんごく驚いたっていうような顔をした後にみるみる赤くなっていった。(かわいいなあ)(キュン) にじりにじりと局長に近づいていくと局長はまたあたふたし始めた。なんだかもそもそと「え、いや、あの、」とか言ってる。 けどそんなことは気にしない。局長、わたしだって女なんですよ。 「ちゃ・・・」 もう何も言わせないとばかりに局長の口に噛み付いた。 そのまま局長の浴衣に手をかける。あれ、ここまで自分からするつもりじゃ、なかっ、たのに・・・止まんない、 なんだあたし、すごく興奮してる。変態みたいだなあ、普通こーゆうのって男の人からじゃないのかな?あー、でももう我慢、できない(・・・) どんどん局長の浴衣を乱していくと急に視界がぐるんと動いた。(あれ?) 気がついたら少し俯いた局長がわたしの上にいた。(あ、れ?) 「ちゃん・・・・、」 「は、はい・・(怒っちゃった・・・!?)」 「俺もね、男なんだよ。」 「え、ええ・・・(そりゃあもうわかってます。)」 「だからね、我慢しなきゃと思っても限界があるのよ、」 「は、はい・・・・・」 ふと顔を上げた局長はいつになく真剣な顔をしていた。 「だから、」 「だから・・・?」 「こーゆうことを軽々しくしちゃダメだよ、」 ショック。わたしってば本当に好きなのに。局長のこと。冗談なわけないじゃない、いくらわたしだって処女を冗談ではあげられない、 いつもお妙さんにボコボコにされてる局長を見て悲しいのに、悲しいのに、・・・ 「え、」 「、え?」 気がついたらわたしはポロリと泣いていた。びっくりした。局長の声と少し頬が冷たいっていうところで初めて気がついた。 「ちゃ・・・お、怒ってないからね、ご、ごめ・・」 局長はおろおろしている。なんだよ、ばか。 「わたし、近藤さんのことすごく大好きですよ。冗談でこんなことしません。」 「・・・・え、」 「本気ですよ、」 「・・・ちゃん、」 ぎゅ、と近藤さん(もう局長だなんて呼んでやらない。)の首に腕を回すと近藤さんはすこし反応して、 「い、いいの?」 そう聞いてきた。いいに決まってるじゃないですか。ばか、 「いいですよ。当たり前じゃないですか。」 「ほ、本当に、いいの、ね・・・?」 「当たり前じゃないですか。わたし今かなり興奮してるんですから。」 その後にこりと顔をあわせてそのまま近藤さんはわたしに体重をかけてきた。(わ、) * 「あっ・・・」 「い、入れますよ、」 「っは・・は、い・・(きもちいー・・)」 「お邪魔しま、「あいだだだだだだだだだだ!!!」 「ぇえええええ!?」 「い、痛いです・・!痛い・・!おかしい、話が違うぅうぅぅうううう!!!平均じゃもう少し小さいは、ず・・・!」 「なに!?その平均って・・・!!」 「ナニの大きさ、です、よッ・・いだだだだだだだあああ!!」 「ええ!?ちょ、も、もう少し静かにしないとみんな起きちゃうから・・・!」 「む、、無理です、あ・・う、」 「(なんとか収まった・・・!)」 「あっ・・・・!」 * ちゅんちゅんと鳥の声と少し肌寒くなって目が覚めた。 ずるずる布団を引き寄せて肩まで被る。ああ、ついにわたしも処女喪失。(おめでとう自分)(ありがとう近藤さん) そんなことを考えながらボーッとしていると近藤さんも目を覚ましたらしくキョロキョロしたあとわたしを見てはっ、とした顔をしていた。 「お、おはよう。」 「おはようございます。」 「え、えーと、昨日は、」 「・・・・・・」 「お世話になりました・・・(え、これであってんの俺・・!)」 少し照れながらもそもそ話す近藤さんが可愛くて可愛くて、 (ああ、やっぱりあなたが大好きです。) そう再確認した。 「これからもよろしくお願いしますね、近藤さん。」 「こ、こちらこそ・・・」 ああもう、可愛くて優しくて、たくましいあなたが大好きなんですよ! 今日からはお妙さんじゃなくてわたしを追いかけて下さいね!そう約束をした朝はわたしの大事な記念日だ。 すきすきだいすきだいすき!
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