「げ!」
後始末のきっかけ
「す、すみませんでした・・。」
「マジかよ・・・」
今日神楽ちゃんが教室でヨーグルト食べてて、沖田君と喧嘩して、
そう、ヨーグルトを手に持ったまま。
それでヨーグルトは宙を舞って。教室の入り口にこぼれた。
神楽ちゃんは沖田君とそのままどこかへ走っていってしまって、(か、片付けは!?)
その後神楽ちゃんだけ戻ってきて私に箱ごとティッシュペーパーを渡して『、任せたアル!』といってまた走っていった。(え!?任せる!?)
(ちょ!か、神楽さーん!!)
あたしは教室掃除の当番の日だから仕方なくティッシュペーパーを箱から二、三枚取り出した。
そしたら土方君が教室に、教室に近づいてきた、そ、そこはヨーグルトが!あ!!あ、あ、あ、−−−−!!
「あーーーーーーーーー!!」
「ッ!?」
「ひ、土方くん、」
「あぁ!?」
「あ、足・・・」
「げ!」
「これなんだよ、」
「ヨ、ヨーグルト。(神楽ちゃんのね!)」
ティッシュペーパーを握り締しめる手に汗がじわじわ出てくる。
あー!や、やっちまった!
「おい、」
「ひ!」
「ソレ。」
「え、」
「ソレ、よこせ。ティッシュ。」
「あ!!ど、どうぞ。」
急いでティッシュペーパーを箱から引っ張りまくる。
もういいや!箱ごと!
「はい!!」
「あー、マジかよ、制服にまで付いてんじゃねえかよ、」
「す、すみません。(なんであたし謝ってんだ!)」
「いいけどよ、」
「は、はい。」
なんですか、これ、あたし悪くないよね。
あれだ!あれ!最初に謝ったのが良くなかったんだ!
「で、でもそれ、」
「あ!?」
こ、こわっ!!
え!?なにこの人!え!?
こーいう人に負けない強気な女になりたいですね、
『神楽ちゃんのだしね!!あたしは片付けしてるだけなんだよ!!バーカ!!』
「クリーニングに出さなくても平気だよね。」
「あー」
口が裂けても言えません。
もー知らない知らない。残りの掃除さっさと終わらせちゃおう。
そう思ってモップを持ち直す。
キュキュキュキュ、カチカチッ!
教室の隅は拭きにくくて困る、あーモップが上手く入らん!
カチカチカチ!
ていうか当番の男子なんでいないの!
高杉くんと沖田!オイ!
そして女子もなんでいないの!
神楽ちゃん!頼むよ!!
あたし一人じゃん掃除してんの!
ガンガンガンッ!!
「、い」
「、お」
「おい!!」
「はっ!はい!」
「コレ、」
「ど、どうも(どうもって何!)」
そういって土方くんはティッシュペーパーの箱の隅っこを持って私に差し出した。
それから小さな声で
「さんきゅ、」
なんて言うから、
「!あ、あ、え、でもコレ、神楽ちゃんの・・・・」
ちょっとちょっと!そんな反則もいいとこだよ!
ガララッ
パタパタパタパタパタパタ
「な、なにさ......」
カランッ。
誰もいない教室にモップの倒れる乾いた音がした。
ああもう!何でこんなに心臓が早いの!
神楽ちゃんのせいだ!沖田くんのせいだ!土方くんのせいだ!
土方くんの!
夕焼けが目にしみる。顔にオレンジ色が染み込んだ。
モップを拾って掃除用具入れに戻す。
あ、あたしの負けだ・・ちくしょう
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あ、あおくさ・・・!
05