ドリーム小説







そりゃあそうよね、高校生の、年頃の男女が部屋で二人っきりだなんて何か起こらない方がおかしいもんね。








、」






あたしの名前を呼んで銀ちゃんの顔が近づいてきた。
だから、あたしは目をつぶった。











ふわっと銀ちゃんの匂いがしてあたしの唇には銀ちゃんの唇がくっついた。



「ん、」



すこしの時間の後、ぬるりと銀ちゃんの舌が入ってきた。
そのあと色々な方向に銀ちゃんの舌は動き回ってもう止まらない。アクセル全快だ。わー、カー、チェイ、ス?
なんだか恥ずかしくて自分の舌からは動かせなかったけど銀ちゃんの舌に捕まってしまってからはもーわけもわからず動き続けてる。
もーどうにでもなれ、


きゅっと銀ちゃんの腕があたしの背中に回された。ぎゅ。
そのまま制服の中にするりと生暖かい手が入ってきた。(わ、これって、)(もしかして、)


「ぁ、」


生暖かい手はそのまま上へ上へとやってきて下着のホックの部分に手がかかった。
銀ちゃんの手は、少し汗ばんでる。
さっきまで聞こえてた小学生の声も蝉のミンミン鳴く音も、みんなどんどん遠ざかっていってしまう気がした。
まぶたの外で部屋の中に入る光がキラキラとしてることだけはかろうじてわかった。
あ、と思ったらホックの下に銀ちゃんの手がもぞりと入ってきた。(あ、やっぱり)



思わずびくりと身体が跳ねてしまった。(だってやっぱり、ねえ?)




その瞬間ぴたりと銀ちゃんの手が止まった。.........え、?


















「うあー、そういや俺あした数学補習だわ。」






















そういって当たり前のようにするりとあたしの制服から手を引いた。
ちょっとまって下さいよ、これって、え?
数学ってなに?この状況で?あたし初体験の心の準備までしちゃったよ?え?


あたし<数学の補習


こういうことなの?


わけもわからずぽかんとしているあたしになんて構わず銀ちゃんは立ち上がり鞄の中から数学の教科書とすこし端の折れたノートを取り出した。
椅子の上であぐらをかきながら膝の上に教科書を置いて、そしてノートのページをパラパラめくって銀ちゃんはいつもみたいにだるそうな目で「ここ、わかる?」と聞いてきた。
「わかるかバカヤロォォオオオーーーー!!」そう叫んでドアをから飛び出してしまいたい気持ちでいっぱいだったけど、そんなことしたらすごく期待してたみたいで恥ずかしい。
だからあわててぽかんと開いた口を閉じて「ごめん、わかんないや、」そう答えた。



「あーやべェー・・どーっすかな・・」

「(なによ、)」

「仕方ねえ、明日ヅラに見せて貰うかな。」

「(なによ、)」





わたしが悔しいやら恥ずかしい気持ちでもやもやしているとコンコン、とドアをノックする音のあとすぐにがちゃりとドアが開いた。
「お茶どうぞー!」お母様が元気に声を張り上げて入ってきた。思わずあたしは俯いてしまう。(だって、)(一応、)(照れるじゃない)
「おー、そこ、置いといて、ってうわ、!ばっ、離せよ・・・!」銀ちゃんはその辺に適当に置いておいて欲しかったみたいだけどお母様は銀ちゃんをドアの外に引きずり出してしまった。(強い、)
なぜかそれを異常に嫌がる銀ちゃんは不自然な体制で半ば引きずられる形でドアの外に行ってしまった。







「・・・・あんた。」

「うるせー!元気な証拠だろーが!文句あんのか!」

「・・・・お母さんは信じてる。あんたにそんな根性がないことを、」

「オイイイィィィイイイイイイ!どーゆう意味だてめえええ!」







なんの話をしているかちっともわからない。なんだかますます面白くなくなって、恥ずかしくなってもう早くひとりになりたくなってきた。
すこし目を泳がせながら指をもぞもぞ動かすしか今は出来ない。
ああ、なんでこんな、こんな、彼氏の家に来ておいてこんな思いしなきゃいけないんだろう。もうやだ。目頭がすこし熱くなる。
もうやだ。帰ろう。
そう勝手に自分で結論を出して鞄に借りた雑誌やらCDを詰め込む。
廊下からいちだん大きい「おめーさっさと下行けや!」という銀ちゃんの声がして、がちゃりとドアが開いた。
そのまま不自然に急ぐようにして椅子に座った。さっきから、変なの。


「わりぃーわりー。」

「平気だよ。お母さん面白いじゃん。」


ほんとはそんなことじゃなくて違う所を謝って欲しかった。



「どの辺がだよ、って、」


銀ちゃんは頭を掻きながらこっちを見てわたしの手元のまとめられた荷物で目をとめた。
そのままこっちをみて


「なに?どーしたの?」



そう続けた。なんだか恥ずかしいから帰るね、なんて言えるはずも無いから急いで言い訳を考えてにへらと笑ってみせる。



「ごめん、あたしも明日英語あたるの。」





「だから、帰るね」そう続けて部屋を駆け足気味に出た。後ろから銀ちゃんの声がした気がしたけど今振り向いても笑えない。
玄関に置いてあるローファーに乱暴に足を突っ込んで「お邪魔しました!」と一言叫んで一気に外に飛び出した。
そのとき銀ちゃんがわたしを追いかけて来てくれてたら、わたしはまた笑って大好きな雑誌のはなしとかたくさんできたかもしれない。


けれど銀ちゃんは追いかけてきてくれなかった。












「なによ、ばか、」










悔しくて悲しくて情けなくて、どうしようもなく泣けてきそうで、もしかしたら銀ちゃんが追いかけてきてくれるかもしれないと家の前に立って銀ちゃんの部屋の窓を見上げる自分が更に惨めで、目の前のお母様の育てているヘチマを一本折ってやった。





ばか!









ヘチマ片手にどうしようもない気持ちをひきずりながら駅へと走った。













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前回から長く時間があいてしまってすみませんでした・・・!
なんだかおかしな方向に進んでいますがどうぞお許しをぉおおお!!

06.3.15